ぷんぷんのブログ

失って気づくもの

火車 宮部みゆき

最近、図書館に通う様になりました

病院の待ち時間や、待ち合わせ前など

少し早く着いて読書をして過ごす

僅かな時間ですが

それが心にゆとりになって

とても良いです😊

 

今回は【火車】を読みました

 

岩波新書で出版された

『企業と経済を読み解く小説50』で

オススメされていたのがきっかけです


 

 

 

宮部さんの小説は今まで

手に取ったことはありませんが

とても有名な方ですね

読まずもがな多くが映像化されています

 

火車も映像化されていたみたいですが

私は知りませんでした

 

この本の内容は

ミステリーみたいです

私の入り口は経済でしたけどね

 

主要人物を取り巻く環境が

その時代を象徴する経済社会の波に

まんまと飲み込まれ

他人を巻き込みながら

犯罪に手を染めながら

人生を狂わせていくお話

 

自分には起こりえない様に

一見思える出来事なのですが

そうではないんです。って

 

そのように作中の弁護士さんは

おっしゃっておりましたよ

 

当人にしか分からないであろう事、

現実は想像より壮絶である事…、

そんな事を考えながら読み進めて

結末に向かって心が膨んでいきます

 

読んでいく中で

最初から最後まで様々な仮説や想像力を

駆使していくのですが

その成果は、報われる事なく

終焉へ向かってしまいます

 

その積み上げた仮想の物語が

果たして事実なのか、

はたまた空想なのか、

それは誰も教えてくれません

 

読んだ後の喪失感と

余韻がけたたましいです

 

そんな風に心に残る

本当の意味でミステリーだと思いました

 

私は、残りのページ数を

厚みでなんとなく確認しながら

''いよいよ核心にきたな''

''ここから真実が分かるのか''

''ん、これで足りるのか''

''え、あとがき''

''えっ、終わり!??''

みたいなびっくり展開でした…

 

作中では、登場人物たちが

数々の推測挙げていきます。

そこまで言い切れるのか?

と感じる場面が何度かあったので

そこは事実として受け取って良い

という事なのでしょう

 

そして、描かれないその後の展開が

めちゃめちゃ気になります

幼馴染はどんな風に話しかけたのだろうか、とか

その奥さんは気持ちにふんぎりがついたかなぁ、とか

激怒した元婚約はどうしただろう、とか

真実が明るみになってしまった事を

悟った彼女はどんな形相だったのだろう、とか

各登場人物ごとに

どんな後始末をされていったのか、

とても気になってしまうくらい

登場人物に肩入れしてしまいました

 

みんな、個性があって

好きになっちゃいます

 

幼馴染も、

元婚約者も、

皆けりをつけてくれているといいな

 

だけど、なにより首の居場所が

1番気になりますね!

 

どうしても

近くを通ると思い出してしまう

ここに埋めようとしたんだよな、と

 

舞台のあそこは私の地元です

 

あそこだと星中学区かな、

などと考えてしまい…

しかも、あの辺りで見晴らしの

良さそうなところと言えば

八幡山公園…?

私は、その辺りだと思うんだよな、

なんてフィクションに仮説をたてた上、

地元の誰かに会うとそれを

話したくなってみたり😅

フィクションなのに 笑

 

兎に角とても余韻の強い作品でしたね

 

また、印象に残っている部分で

詳しく明かされなかった場面に

『まるっきりなまものが食べることができなくなってた』

っていうところがあるんですけど

 

いくつかの評論を読んでも

私の仮説とは違っていたので

私はこう思う!というのを載せて

終わりにしたいとおもいます

 

暴力団の構成員の1人から目をつけられ、喬子はそちらの面でもしつこく追われることになっていた”

“その男のことは、人間の皮をかぶった鬼だ、と言っていた”

“どうかお願い。頼むから死んでいてちょうだい、お父さん。という気持ちでページを繰る喬子に向けられた鬼女という言葉“

これらから、私は

鬼=死をもたらすもの

を意味していると感じました

 

なので、暴力団の構成員に目をつけられて追われていた喬子は死体処理や、殺人などを強制的に手伝わされていたのではないか

よって、なまものが、とくにお刺身が食べられなくなってしまったのではないかと推測しました

 

それによって、

得た知識や経験から、成りすましのための計画に邪魔になる人物を始末していくことが1人でも可能だった

 

バラバラ殺人なんて女の力仕事は

容易ではないし、発想も猟奇的なので

その辺の影響を受けての事なのかなと

読んでいて自然と自分には繋がったので

他の方の違った意見を拝見したときは

ちょっと驚きました

 

でもまたそういう発見が

楽しい!

 

面白い作品でした😊